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「足や腕がパンパンにむくんで、どうマッサージすればいいかわからない」「リンパ浮腫のマッサージをやっているけど、これで合っているか不安…」そんなお悩みを抱えている方は少なくありません。
リンパ浮腫のセルフマッサージ(リンパドレナージ)は、正しいやり方で行えばむくみの軽減に役立ちます。しかし間違った方法では症状を悪化させてしまうこともあります。この記事では、リンパ浮腫のマッサージの基本的なやり方・注意点・セルフケアの限界、そして専門的な治療についてわかりやすくご説明します。
- ✅ リンパ浮腫セルフマッサージの基本的なやり方と手順
- ✅ マッサージで注意すべきポイント・やってはいけないこと
- ✅ セルフケアで改善しないときの専門的な治療の選択肢
リンパ浮腫のむくみ、こんなお悩みはありませんか?
がんの術後や、生まれつきのリンパ管の異常などによって起こるリンパ浮腫。「足や腕が重くてだるい」「靴や袖がきつくなった」「皮膚がかたくなってきた気がする」といった症状に、日々悩まれている方は多くいらっしゃいます。
特に、乳がん・子宮がん・卵巣がんなどのがん治療でリンパ節を切除した後に発症するケースがよく見られます。手術後しばらく経ってから症状が現れることもあり、「なぜ今頃?」と戸惑われる方もいらっしゃいます。
また、「マッサージが良いと聞いたけれど、やり方がよくわからない」「インターネットで調べて試しているが、本当に正しいのか不安」という声も多く聞かれます。間違ったマッサージはむくみを悪化させたり、皮膚トラブルにつながったりすることもあるため、正しい知識をもってセルフケアを行うことがとても大切です。
大阪府堺市東区の「ななほしクリニック」では、院長・久米川真治がリンパ浮腫の専門的な治療に取り組んでいます。この記事を通じて、少しでもみなさまのお悩みが解消されれば幸いです。
そもそもリンパ浮腫とは?マッサージが必要な理由
リンパ浮腫が起きる仕組み
私たちの体の中には、血管と並行して「リンパ管」というネットワークが張り巡らされています。リンパ管は、細胞のすき間にたまった余分な水分やタンパク質を回収し、最終的に血管へ戻す役割を担っています。
リンパ節の切除や放射線治療などによってこのリンパ管ネットワークが傷ついたり、流れが滞ったりすると、水分やタンパク質が皮膚の下に停滞してしまいます。これがリンパ浮腫です。放置すると皮膚が徐々に硬くなり(線維化)、症状が進行してしまうことがあります。
なぜマッサージ(リンパドレナージ)が勧められるの?
リンパ浮腫の治療において、専門家が行う「用手的リンパドレナージ(MLD)」や患者さん自身が行う「セルフリンパドレナージ(SLD)」は、複合的理学療法(CDT)と呼ばれる保存的治療の重要な柱の一つです。
優しい手の動きでリンパの流れを促し、たまった液体を正常なリンパ管へ誘導することで、むくみの軽減や症状の進行抑制が期待できます。ただし、一般的な「血行促進マッサージ」とは目的も手技もまったく異なりますので、区別して理解することが大切です。
一般的なマッサージのように強く揉んだり押したりするのではなく、皮膚をゆっくり・やさしくなでるように動かして、リンパ液の流れをサポートするのがリンパドレナージの基本的な考え方です。
リンパ浮腫の複合的理学療法は、①スキンケア(皮膚のケアと感染予防)、②セルフリンパドレナージ、③圧迫療法(弾性ストッキング・弾性包帯の使用)、④運動療法の4つを組み合わせることで効果が期待できます。マッサージだけでなく、総合的なセルフケアが大切です。
リンパ浮腫の治療に伴うリンパドレナージや弾性着衣の購入補助など、一定の条件を満たす場合には保険が適用されることがあります。まずは専門医に相談してみましょう。
リンパ浮腫セルフマッサージ(セルフリンパドレナージ)の基本的なやり方
マッサージを始める前に確認すること
セルフリンパドレナージを行う前に、以下のことを必ず確認してください。手術後や治療中の方は、必ず担当医や専門のセラピストに指導を受けてからセルフケアを開始してください。自己判断で始めることはお勧めしません。
- 皮膚に傷・炎症・赤み・熱感・発疹がないか確認する
- 爪を短く切り、手を清潔に洗う
- リラックスできる環境・姿勢で行う
- 施術中に痛みや不快感があればすぐに中止する
下肢(足)のセルフリンパドレナージの手順
下肢のリンパ浮腫に対するセルフマッサージの基本的な流れをご紹介します。「末端から始めず、体幹(付け根)から先にほぐす」のが大切なポイントです。
まずリンパ液の最終的な出口である鎖骨リンパ節まわりに向かって、やさしい円を描くように皮膚をなでます。左右それぞれ5〜10回程度、力を入れずに行います。
腹部(おへそのまわり)を大きな円を描くようにやさしくなでます。腸の動きを促すイメージで、時計回りに5〜10回。リンパ液の流れを体幹に受け入れる準備をします。
脚のつけ根にある鼠径リンパ節を、手のひらで円を描くようにやさしくなでます。強く押さず、皮膚を動かすイメージで5〜10回行います。これにより下肢からのリンパ液を受け入れる「スペース」を作ります。
太ももの上から鼠径部に向かって、やさしく皮膚をすくい上げるように5〜10回なでます。次にひざ裏のリンパ節を軽く円なで→ふくらはぎをひざ方向へ→足首・足の甲を足首方向へという順番で行います。各部位5〜10回が目安です(個人差があります)。
上肢(腕)のセルフリンパドレナージの手順
乳がん手術後などで腕にリンパ浮腫が起きている場合は、以下の順番を参考にしてください。こちらも「体の中心・付け根から先にほぐす」のが基本です。
- ①鎖骨リンパ節:健側(患側と反対側)の鎖骨リンパ節→患側の鎖骨リンパ節の順にやさしくほぐす
- ②わきの下(腋窩リンパ節):健側のわきの下→患側のわきの下の順にやさしくほぐす
- ③上腕(二の腕):上腕から肩方向へすくい上げるようになでる
- ④肘から手首:肘方向へ、手首・手の甲から肘方向へという順番でなでる
腕のリンパドレナージは、体幹の受け入れ側を整えてから末梢(末端)に向かうという順序が大切です。各ステップ5〜10回を目安に(個人差があります)、無理なく行いましょう。
⚠ よくある誤解:「強く揉むほど効果がある」は間違いです
リンパ浮腫のマッサージで強い圧をかけると、逆にリンパ管を傷つけてしまったり、炎症を引き起こしたりする可能性があります。リンパドレナージに必要な圧力はごく弱く、「皮膚が少し動く程度」が目安です。いわゆる「もみほぐし」や「深部マッサージ」とは根本的に異なります。リンパ浮腫の治療として行う場合は、必ず専門家の指導を受けてください。
マッサージの際に気をつけたいこと・やってはいけないケース
セルフマッサージを控えるべき状況
以下のような状態のときは、セルフマッサージをお休みし、早めに医療機関を受診してください。
✅ セルフマッサージが行えるとき
- 皮膚に傷・炎症がない
- 熱・発熱がない
- 患部に痛みがない
- 担当医から許可を得ている
- 専門家の指導を受けている
⚠ セルフマッサージを控えるとき
- 皮膚が赤くなっている・熱を持っている(蜂窩織炎の疑い)
- 発熱・悪寒がある
- 患部に強い痛みがある
- がんの再発・転移が疑われる
- 深部静脈血栓症(DVT)の疑いがある
弾性ストッキング・弾性包帯との組み合わせが大切
セルフリンパドレナージを行った後は、弾性ストッキングや弾性包帯による圧迫療法を組み合わせることで、マッサージで流したリンパ液が再びたまりにくくなる効果が期待できます。圧迫療法なしにマッサージだけを行っても、効果が持続しにくい場合があります。
弾性着衣の圧力の強さや種類は、症状の程度やリンパ浮腫のある部位によって異なりますので、専門医や認定リンパ浮腫セラピストに相談の上で選ぶようにしましょう。
⚠ 蜂窩織炎(ほうかしきえん)に注意
リンパ浮腫のある皮膚は免疫機能が低下しやすく、細菌感染による「蜂窩織炎(皮膚の深い部分の炎症)」を起こしやすい状態です。患部が急に赤く腫れて熱を持ち、発熱を伴う場合は蜂窩織炎の可能性があります。このような場合はすぐにマッサージをやめ、早めに医療機関を受診してください。蜂窩織炎を繰り返すとリンパ浮腫が進行する原因にもなります。
セルフケアに限界を感じたら。専門的なリンパ浮腫治療の選択肢
複合的理学療法(保存的治療)
セルフケアを続けていても改善が乏しい場合、まずは専門家による「複合的理学療法(CDT)」を受けることをお勧めします。
当院ではリンパドレナージを専用機器「リミティ」を用いて行っており、圧迫療法・運動療法・スキンケアを組み合わせた治療で症状の軽減が期待できます。
一定の条件を満たす場合、リンパ浮腫の治療は保険診療の対象となります。担当医や専門クリニックに相談してみましょう。
リンパ管静脈吻合術(LVA)という手術的治療
保存的治療で症状のコントロールが難しくなってきた場合には、手術的な治療が選択肢の一つになります。「リンパ管静脈吻合術(LVA:Lymphaticovenular Anastomosis)」は、詰まったリンパ管を静脈に直接つなぎ合わせ、新たなリンパ液の流れを作る手術です。
当院(堺市東区・ななほしクリニック)では、院長・久米川真治がこのリンパ管静脈吻合術を日帰りで行っており、マイクロスコープを使った精密な手技で、むくみの軽減を目指した治療を行っております。リンパ浮腫の状態や進行度合いによって適応が異なりますので、まずは専門外来にてご相談ください。
なお、手術の効果には個人差があります。術後もセルフケアや圧迫療法などの継続が大切です。
ななほしクリニックのリンパ浮腫診療へのこだわり
大阪府堺市東区・南海高野線「初芝駅」徒歩1分のメディカルスクエア初芝駅前2階に位置するななほしクリニックでは、リンパ浮腫をはじめとする形成外科・皮膚科・婦人科・美容皮膚科の幅広い診療を行っています。
リンパ浮腫マッサージに関するよくある質問(FAQ)
この記事のまとめ
- ✅ リンパ浮腫のセルフマッサージ(リンパドレナージ)は「体幹から末梢へ」の順で優しく行うことが基本
- ✅ 強い圧力で揉むのは逆効果。皮膚が少し動く程度の弱い圧力が目安
- ✅ 皮膚の炎症・発熱・強い痛みがあるときはマッサージを中止し、医療機関へ
- ✅ セルフケアと弾性着衣による圧迫療法を組み合わせることが大切
- ✅ セルフケアで改善が難しい場合は、リンパ管静脈吻合術などの専門的治療も選択肢の一つ
セルフケアの方法を専門家に直接確認したい方へ
ななほしクリニックでは、リンパ浮腫の専門的な診療を行っています。正しいセルフケアの指導も含め、まずはお気軽にご相談ください。堺市東区・初芝駅徒歩1分です。








⚕ 院長 久米川真治(日本形成外科学会専門医・医学博士・リンパ浮腫保険診療医)よりひとこと
リンパ浮腫は、適切なセルフケアを続けることがとても重要な疾患です。一方で「マッサージを頑張っているのに改善しない」「正しいやり方がわからなくて不安」というお声もよくお聞きします。セルフケアには限界もありますし、状態によっては手術的な治療が症状の改善につながることもあります。当院では、和歌山県立医科大学形成外科での長年の研究・臨床経験を生かし、一人ひとりの患者さまの状態に合わせた治療方針をご提案しております。まずは気軽にご相談いただければ幸いです。地域のみなさまに寄り添った医療を提供することが、私の目指すところです。