
頭のかたち外来
頭のかたち外来
赤ちゃんの頭の形が気になる──そう感じる保護者の方は少なくありません。出生後しばらくは、頭の骨が柔らかく、外部からの圧力により変形が起こりやすい時期です。「向き癖によって後頭部が平らになっている」「頭が左右非対称に見える」といった悩みは、多くのご家庭で見られます。
このような赤ちゃんの頭の形に関するご相談に対応するのが「頭のかたち外来」です。近年では、医学的な観点から専門的に評価・診断し、必要に応じて治療を行う施設が増えてきました。形の変化が自然に改善する場合もありますが、早期に対処することでより良い経過が期待できるケースも多いため、不安な点があれば一度ご相談されることをおすすめします。
内容の詳細は、下記のリーフレット(PDF)からもご覧いただけます。
赤ちゃんの頭の形がゆがむ原因の多くは「位置的斜頭症(いちてきしゃとうしょう)」と呼ばれる状態で、骨の異常ではなく、外から加わる圧力により頭の一部が平らになったり、左右非対称になったりするものです。
この位置的斜頭症は、以下のような要因によって起こりやすくなります。
赤ちゃんの頭の形のゆがみは、以下のような形状として現れます。
見た目の印象だけでなく、帽子が合わない、写真映りが気になるなど、日常の中での気づきから受診されるケースもあります。症状の多くは医学的に「頭蓋変形(変形性頭蓋)」と呼ばれるもので、脳や神経の発達に直接影響を与えることは基本的にありませんが、成長とともに残る可能性もあるため早期の評価が望まれます。
診察では、まず保護者からの問診に加えて、視診と触診によって頭の形状や非対称性の程度を確認します。必要に応じて、3Dスキャナーや頭部の形を測定する専用機器を用いて、客観的なデータをもとに分析することもあります。
特に注意が必要なのは、まれに「頭蓋縫合早期癒合症(とうがいほうごうそうきゆごうしょう)」という、頭の骨の継ぎ目が早く閉じてしまう疾患が隠れている場合です。この場合は小児脳神経外科などの精密検査が必要になります。形状だけで判断が難しい場合は、頭部のレントゲンやCTなどの画像診断を行うこともあります。
あたまの形の治療は、変形の程度や赤ちゃんの月齢によって異なります。一般的には以下のような方法が取られます。
生後4〜6か月以降で変形が目立つ場合、専用のヘルメットを装着して頭の成長をコントロールしながら形を整えていく治療法が検討されます。ヘルメット治療は一般的に1日23時間程度の装着を数か月〜半年以上継続して行います。
この治療は、頭の成長が著しい乳児期のうちに行うことで最も高い効果が期待できるため、開始時期の見極めが重要です。
料金 自費42万円(税込み)
赤ちゃんの頭の形は成長とともにある程度自然に整っていくことも多い一方で、個々の状態や育児環境によっては変形が目立ったままになることもあります。特に生後6か月頃までの時期は頭蓋骨がやわらかく、形の修正がしやすいため、気になったときに早めに相談することが重要です。
また、赤ちゃんの頭の形は見た目だけでなく、写真や将来のヘルメット装着時など、日常生活に影響を与える可能性もあります。何より保護者の不安が解消されることが、安心した育児にもつながります。
当院では、科学的根拠に基づいた評価と、安全で負担の少ない治療を提供しています。「少し気になるかも」「一度見てもらいたい」という段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。