陥没乳頭
陥没乳頭
没乳頭(かんぼつにゅうとう)とは、通常は外に突出している乳頭(乳首)が内側に引っ込んでしまっている状態を指します。これは片方または両方の乳房に見られることがあります。陥没乳頭は乳頭周囲の組織が乳管(母乳の通る管)を引っ張り、内側に引き込まれることによって生じます。以下のような症状や問題が生じます。陥没部位に細菌が溜まり乳腺炎(乳輪下膿瘍)になり繰り返したり、赤ちゃんへの授乳が難しかったり、外見上のコンプレックスをかかえてしまったりします
指でつまみ出すと簡単に乳頭が出てくるがしばらくすると戻る
指でつまみ出すと何とか乳頭が出てくるが離すとすぐに引っ込む
指でつまみ出すことができない乳頭
陥没乳頭は先天性または後天性の原因によって発生します。
生まれつき乳頭が内側に引っ込んでいる状態で、乳管の短縮や組織の発育不全が原因とされています。特に、何らかの健康上の問題を伴わないことが多く、機能的には問題がないこともあります。
加齢や乳房の手術、炎症、乳腺の疾患(例: 乳がん、乳腺炎)などにより乳頭が引っ込むことがあります。特に片側性の陥没乳頭が突然生じた場合は、乳がんの兆候である可能性もあり、早急な診察をお勧めします。
陥没乳頭のある女性は、母乳を赤ちゃんに与える際に乳頭をうまくくわえさせることが難しい場合があります。ただし、授乳に関しては乳頭の形に応じた適切なケアや補助器具(乳頭シールドなど)を使用することで対処可能です。
乳頭が内側に引っ込んでいると、乳頭周囲に汚れや細菌が溜まりやすくなり、乳腺炎や乳頭の炎症のリスクが高まることがあります。
陥没乳頭は外見上の問題と感じる人も多く、自己意識に影響を与えることがあります。特に思春期や成人期にかけて、心理的な不安やコンプレックスを抱くことがあります。
軽度の陥没乳頭の場合、マッサージや乳頭を軽く引っ張るなどの自己ケアで改善することがあります。
授乳を助けるための専用の補助器具(乳頭シールドや吸引器具)を使用することにより、陥没乳頭を矯正したり、赤ちゃんが母乳を吸いやすくしたりすることが可能です。ただ、効果が現れるまでの時間は3か月~2年といわれています。
重度の場合や美容的理由、授乳が困難な場合には、外科的な手術で乳頭を修正する方法もあります。手術は乳管をなるべく温存しますが、術後、乳腺炎や授乳能力に影響を及ぼす可能性があります。しっかり相談して手術を考えましょう。
軽から中等度の場合、4か所の1㎜程の切開を用いて埋没糸で乳頭を形成します。
重度の場合、乳頭を切開し乳管を傷つけないように剥離して陥没の癖を取り除き、切開部で相対する2枚の皮弁を引き寄せて縫合し乳頭を形成します。
いずれの治療法も、以下に該当する場合には健康保険が適用されます。
特に、片側のみの陥没が突然発生した場合や、痛み、しこり、乳頭からの異常な分泌物がある場合には、早急に医師の診察を受けることが重要です。