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顔の赤みが気になる・・・
メイクで隠しても目立ってしまう赤ら顔に、お悩みの方は少なくありません。
実は赤ら顔には、毛細血管拡張や酒さ、ニキビ跡など、様々な原因があります。原因によって適切なケアや治療法が異なるため、まずはご自身の赤みのタイプを知ることが大切です。
この記事では、美容皮膚科の視点から、赤ら顔の主な原因と症状の特徴、そして効果的な改善方法について詳しく解説します。
赤ら顔とは?顔が赤く見える仕組み
赤ら顔とは、頬や鼻、眉間などの顔面に赤みが持続的または反復的に現れる状態を指します。
人の皮膚は外側から表皮・真皮・皮下組織の3層構造をしています。表皮の厚さは平均0.2mm程度で、通常は血管が存在しません。しかし、真皮には毛細血管が密集しており、この血管内を流れる赤血球に含まれる酸化ヘモグロビンが、皮膚を通して透けて見えることで赤みが生じます。
特に鼻や頬には毛細血管が密集しているため、血管が拡張すると赤みが目立ちやすくなります。

また、角層が薄い方は、真皮の血管や血流が透けて見えやすい状態になっています。過剰な洗顔やピーリング、摩擦などで角層を取り除きすぎると、皮膚のバリア機能が低下し、少しの刺激で発赤が生じやすくなります。
赤ら顔は単なる「血色が良い」状態とは異なり、毛細血管の拡張・慢性的な炎症・肌バリア機能の低下など、複数の皮膚科的メカニズムが絡んでいるのです。
赤ら顔の主なタイプと原因
赤ら顔は原因や症状によって、いくつかのタイプに分類できます。
それぞれのタイプで改善方法が異なるため、まずはご自身の赤みがどのタイプに当てはまるかを確認しましょう。
毛細血管拡張型の赤ら顔
毛細血管拡張型は、何らかのきっかけにより毛細血管が拡張したまま元に戻らなくなる状態です。
頬や鼻の周りに細い血管が赤く浮き上がって見えるのが特徴で、炎症は伴いません。通常、毛細血管は拡張後に自然に元に戻りますが、自然治癒しない場合は毛細血管拡張症の可能性が高いです。
主な原因としては、以下が挙げられます。
- 加齢による皮下脂肪の減少
- 生まれつき皮膚が薄い体質
- 寒暖差による血管の収縮と拡張の繰り返し
- アルコールなど刺激物の摂取
寒冷地域にお住まいの方や、冷暖房の効いた室内と屋外を頻繁に行き来する方は、血管の収縮と拡張を繰り返すことで慢性的な赤ら顔になりやすい傾向があります。
酒さ(しゅさ)型の赤ら顔
酒さは、鼻や眉間、頬、顎を中心に赤みが現れる慢性的な皮膚疾患です。
毛細血管拡張症と似ていますが、かゆみやほてり、ヒリヒリ感を伴うのが大きな違いです。発症初期には赤みが現れたり消えたりを繰り返すことがあります。
酒さは主に30代以降の成人女性に多く見られ、以下のような病型に分類されます。
- 紅斑毛細血管拡張型・・・顔の赤みと毛細血管拡張が見られる
- 丘疹膿疱型・・・赤みとニキビのようなブツブツが見られる
- 鼻瘤型・・・鼻が凸凹と肥大し、毛穴が目立つ
- 眼型・・・眼の周りの腫れや結膜炎、角膜炎を生じる
酒さの原因ははっきりとは判明していませんが、遺伝的体質に環境要因や増悪因子が合わさって発症すると考えられています。日光、飲酒、刺激物の摂取、ストレスなどが影響していると言われています。

炎症型の赤ら顔
皮膚の炎症によって引き起こされる赤ら顔です。
主な原因としては、以下が挙げられます。
- 脂漏性皮膚炎・・・皮脂の分泌が多い部位で起こる炎症。マラセチア菌の増殖が原因
- ニキビや炎症性皮疹・・・ニキビの炎症が慢性化することでできる赤み
- アトピー性皮膚炎・・・慢性的な炎症による赤み
脂漏性皮膚炎は、生え際や眉間、鼻の脇など皮脂の分泌が多い箇所に赤みが見られます。発症すると赤みや皮むけ、湿疹などの症状が表れます。ストレスや睡眠不足によりホルモンバランスが乱れると、皮脂の分泌が過剰になり、発症しやすくなります。
敏感肌型の赤ら顔
乾燥や外部刺激などによる肌のダメージが原因の赤ら顔です。
主な原因は、以下のような要因による皮膚のバリア機能の低下です。
- 過剰なスキンケアや洗顔
- 化粧品やスキンケア製品の刺激
- スキンケアやメイク時の摩擦
- 紫外線からのダメージ
角層が薄くなると、真皮に存在する血管や血流が透けて見えやすくなり、少しの刺激で皮膚の刺激感や発赤が生じやすくなります。
男女別の赤ら顔の原因
赤ら顔の原因は、性別によっても異なる場合があります。
男性に多い赤ら顔の原因
男性は男性ホルモンの影響により皮脂腺が発達しやすいため、女性と比べて皮脂の分泌量が多い傾向があります。
皮脂の過剰分泌により炎症や脂漏性皮膚炎を引き起こし、赤ら顔になる場合があります。また、皮脂が多いと毛穴に皮脂が詰まり、ニキビの炎症による赤ら顔が生じる可能性もあります。
女性に多い赤ら顔の原因
女性の場合、毎日のメイクが原因となることがあります。
ファンデーションなどに含まれている成分が肌に合わないと、刺激により炎症を起こし、赤ら顔を誘発する可能性があります。
また、女性ホルモンの影響により毛細血管拡張症を発症する場合もあります。特に女性ホルモンの分泌量が増加する妊娠中は、顔だけでなく首や胸に赤みが生じるケースがあります。
そのほか、女性に多い冷え性も赤ら顔の原因のひとつです。冷え性により血行が悪くなると、体は血流を改善するために血管を拡張させ、赤ら顔につながります。
赤ら顔のセルフケアと予防法
赤ら顔の原因が主にスキンケアや生活習慣からくるものである場合は、ご自身で改善できる可能性があります。
優しいスキンケアを心がける
赤ら顔の方の皮膚は非常に敏感です。
刺激のないマイルドな化粧品を使用しましょう。特に女性の場合、刺激の強い化粧品や油分の多いファンデーションが悪化要因となるケースも見られます。
過剰な摩擦によるメイク落とし、クレンジング、洗顔には注意が必要です。角層を正常な状態に保つために最も重要なことは、摩擦により角層を取り除きすぎないことです。

紫外線対策を徹底する
紫外線の刺激を避けることは、赤ら顔対策で最も大切なポイントのひとつです。
- 日焼け止めクリーム(SPF30以上)を毎日塗る
- 日中の日差しをなるべく避ける
- 外出時は日陰を探す
- つばの広い帽子をかぶる
- 紫外線カットの衣類やサングラスを使用する
悪化因子を理解し避ける
酒さの対策で最も大切なポイントは、まず自分自身の悪化因子を理解することです。
一般的には温めたり熱くなること、冷たい風を顔に当てること、スパイシーな食べ物を摂ることが挙げられますが、個人差もあります。それぞれの方が自分の悪化因子を理解し、避けることが大切です。
栄養バランスの良い食事を心がける
美肌に必要なビタミンが豊富な果物や野菜などを普段から摂ることを心がけましょう。
特にビタミンC、ビタミンE、ビタミンB群は、肌の健康維持に重要な役割を果たします。
美容皮膚科で行う赤ら顔の治療法
セルフケアで改善が見られない場合や、より効果的な治療を希望される場合は、美容皮膚科での治療をご検討ください。
赤ら顔の治療には、外用薬・内服薬から光・レーザー治療まで、様々なアプローチがあります。
外用薬・内服薬による治療
比較的早期かつ低侵襲なアプローチとして、薬物療法が挙げられます。
外用薬では、酒さ型の場合に局所の抗炎症作用を持つメトロニダゾール外用剤(ロゼックスゲル)を用いるケースがあります。2022年5月から保険適応となり、日本での酒さ治療が一歩進みました。
脂漏性皮膚炎の場合は、原因であるマラセチア菌の繁殖を抑えるための抗真菌薬の外用が行われます。
内服薬では、中等度以上の症例や併発皮膚炎がある場合に、抗生物質(ミノマイシン等)やビタミン内服を併用するクリニックがあります。ニキビや脂漏性皮膚炎など皮脂の影響により顔の赤みが出ている場合、イソトレチノイン内服薬が処方される場合もあります。
IPL(フォトフェイシャル)治療
IPL(インテンス・パルス・ライト)を用い、広範囲の波長を皮膚に照射して赤み・くすみ・毛細血管拡張へアプローチする治療法です。
レーザーとは異なる複数の波長を照射することにより、赤みの吸収分解を促進させます。赤ら顔の他に、シミ・くすみ・そばかす、ニキビ跡や毛穴の開きなどにも作用するため、トータルで美白ケアしたい方に適しています。
利点としてダウンタイムが比較的短く、メイクや日常生活への復帰が早いケースが多いと報告されています。

ロングパルスYAGレーザー治療
血管内のヘモグロビンに特化した波長(1,064nm)を持つレーザーで、拡張した毛細血管を選択的に縮小・凝固させる効果があります。
皮膚表面の赤い毛細血管を、ロングパルスヤグレーザーによる熱で壊して赤みを改善します。周囲の正常組織へのダメージを最小限に抑えることができるという特徴があります。
また、真皮上層におけるコラーゲン・エラスチンの増生も誘導され、肌質改善・ハリ回復の副次効果も期待できます。この副効果に驚いて喜んでいらっしゃる患者様もたくさんいらっしゃいます。
その他のレーザー・RF治療
拡張血管やニキビ後の赤みといった局所的な赤みには、Vビームレーザーという特化機器が使われることもあります。
また、肌の再生を促すマイクロニードル+ラジオ波(RF)併用治療も、美容皮膚科領域では併用例として紹介されています。フラクショナルCO2レーザーは、肌にレーザーを照射し微細な穴を開け、新しい皮膚の再生を促す治療法で、古い皮膚から新しい皮膚を再生させることで赤ら顔を改善します。
治療プランと併用戦略
最新アプローチの鍵は「単一治療だけで終わらせない」ことにあります。
複数の治療を組み合わせることで効果を最大化し、維持期間を延ばすことが可能です。たとえば、まず光・レーザーで拡張血管を縮小し、その後に外用薬・内服薬で炎症をコントロール、さらに日常のスキンケア・生活習慣を整えるというステップが理想的です。
治療回数・間隔に関しては、症状や治療法によって異なりますが、3週間以上空けて数回の治療を推奨するケースが多く見られます。
赤ら顔治療の注意点とダウンタイム
赤ら顔の治療を受ける際には、いくつかの注意点があります。
保険適用と自費診療について
赤ら顔治療において、すべてが健康保険適用ではなく、自費となる光・レーザー治療を併用するケースが多くあります。
メトロニダゾール外用剤(ロゼックスゲル)やイオウカンフルローション、テトラサイクリン系抗生物質内服などは保険適応となる場合がありますが、IPL治療やロングパルスレーザー治療などは自費診療となります。初診時に説明を受けることが重要です。
治療後の副作用とダウンタイム
治療法によって副作用やダウンタイムが異なります。
IPL治療では、治療後にわずかなかゆみを感じることがあります。ロングパルスレーザー治療では、治療後1~2ヵ月位の時期にかさぶたや色素沈着で茶色になることがありますが、徐々になじんでいき、3~6ヶ月で目立たなくなります。
フラクショナルCO2レーザーでは、治療後の赤み、熱感、ヒリヒリ感などを感じることがありますが、ほとんどの場合1日で軽快します。また、皮膚がザラザラした感じが1~4週間位続くことがあります。
長期的な治療計画が必要
酒さや赤ら顔は、なりやすい体質が根底にあります。
良くなったと思ってもちょっとしたきっかけで悪化したりします。スキンケアや生活の注意点に留意しつつ、個人差がありますが、治療を数年単位と長期的に考えていく必要があります。自分なりの悪化因子を理解し、悪化したとしても上手に対応できるように、医師と一緒に治療をしていくことが大切です。
まとめ:赤ら顔は適切な治療で改善できます
赤ら顔には、毛細血管拡張、酒さ、脂漏性皮膚炎、ニキビ跡など、様々な原因があります。
それぞれのタイプによって症状の特徴や悪化要因が異なるため、まずはご自身の赤みの原因を正しく理解することが大切です。
セルフケアでは、優しいスキンケア、紫外線対策、悪化因子を避けることが基本となります。しかし、セルフケアだけでは改善が難しい場合も少なくありません。
美容皮膚科では、外用薬・内服薬から光・レーザー治療まで、様々な治療法をご用意しています。複数の治療を組み合わせることで、より効果的な改善が期待できます。
赤ら顔は、適切な治療とケアを続けることで改善できる症状です。
お一人で悩まず、まずは専門の医療機関にご相談ください。
ななほしクリニックでは、美容皮膚科の専門知識を持つ医師が、お一人おひとりの症状に合わせた治療プランをご提案いたします。
初めての方でも安心してご相談いただけるよう、丁寧な診察とカウンセリングを心がけております。赤ら顔でお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
ご予約・お問い合わせは、お電話またはWebサイトの予約フォームから承っております。
赤ら顔が気になる方へ
赤ら顔の原因は毛細血管の拡張や肌質などさまざまです。症状のタイプを確認しながら、改善方法や治療の選択肢をご説明します。
初診では症状の経過や肌状態を確認します。
赤ら顔治療について
著者
久米川 真治(くめかわ しんじ) 医師
ななほしクリニック 院長

形成外科・皮膚科・美容皮膚科を専門とする医師。
保険診療から自費診療まで幅広い臨床経験を有し、形成外科専門医として、疾患の正確な診断と患者負担の少ない治療を重視した診療を行っている。
本サイトでは、医師としての臨床経験と医学的根拠に基づき、症状・治療法・注意点について、一般の方にも理解しやすい医療情報の発信を行っている。




