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リンパ浮腫の検査を受けるべき診療科とは
リンパ浮腫の検査を受けたいと思っても、どの診療科を受診すればよいのか迷われる方は多いです。
リンパ浮腫の診断や治療は、主に**形成外科**や**リンパ浮腫外来**で行われています。一部の医療機関では、乳腺外科や婦人科でもリンパ浮腫の診療を行っている場合があります。
形成外科は、リンパ管の構造や機能を専門的に評価し、必要に応じて外科的治療を提供できる診療科です。リンパ浮腫外来は、リンパ浮腫の診断から保存療法、手術療法まで包括的に対応する専門外来として設置されています。
当院「ななほしクリニック」でも、形成外科専門医によるリンパ浮腫の診療を行っております。リンパ浮腫の診断に必要な検査から、日帰り手術まで対応しておりますので、むくみが気になる方はご相談ください。リンパシンチグラフィーは連携病院にて行っております。
リンパ浮腫の検査方法:ICG蛍光造影とリンパシンチグラフィーの違い
リンパ浮腫の診断には、視診や触診だけでなく、画像検査が重要です。
代表的な検査方法として、**ICG蛍光リンパ管造影**と**リンパシンチグラフィー**の2つがあります。それぞれに特徴があり、得られる情報も異なるため、患者さまの状態に応じて使い分けられています。

ICG蛍光リンパ管造影検査の特徴
ICG蛍光リンパ管造影検査は、インドシアニングリーン(ICG)という緑色の薬液を使用する検査です。
この検査では、薬液を皮下に注射し、リンパ管に取り込まれた薬液が発する蛍光を特殊なカメラで観察します。リンパ管が正常に機能している部分は線状に、障害されている部分は銀河のように広がって見えるのが特徴です。
ICG検査の大きな利点は、リアルタイムでリンパの流れを可視化できることです。どのリンパの道が障害されているのか、どの範囲にリンパ液の漏れが生じているのかを、その場で確認できます。
また、リンパ管静脈吻合術などの手術を行う際にも、機能的なリンパ管を探すために使用されます。手術中に吻合部がつながっているかどうかを視覚的に評価することも可能です。
検査時間は比較的短く、患者さまへの負担も少ないため、外来で実施できる検査として広く用いられています。
リンパシンチグラフィーの特徴
リンパシンチグラフィーは、放射性同位元素(アイソトープ)を使用する検査で、国際リンパ学会でも推奨されている標準的な診断方法です。
手や足にアイソトープを注射し、それがリンパ管を流れる様子をシンチカメラで撮影します。正常なリンパ管は線状に、むくみの場所は雲状に映し出されます。
この検査では、アイソトープ投与後の早期(5~15分)と晩期(30分、60、120分後)に撮像することで、リンパのくみ上げ機能と、リンパ管の弁不全による皮膚への逆流現象を評価できます。
リンパシンチグラフィーは、上肢や下肢全体のリンパの流れの傾向をつかむのに適しており、病期診断や治療効果の判断にも重要な役割を果たします。
検査には数時間を要する場合がありますが、全身のリンパの流れを総合的に評価できるため、治療方針の決定に欠かせない検査となっています。
2つの検査方法の使い分けと併用のメリット
ICG蛍光造影とリンパシンチグラフィーは、それぞれ異なる情報を提供します。
ICG検査は、リンパ管の詳細な走行や局所的な障害部位を把握するのに優れています。一方、リンパシンチグラフィーは、全体的なリンパの流れの評価や重症度判定に適しています。
両方の検査を組み合わせることで、より正確な診断と適切な治療方針の決定が可能になります。ICG検査で詳細なリンパ管の状態を把握し、リンパシンチグラフィーで全体像を評価するという使い分けが理想的です。
例えば、手術を検討する際には、ICG検査で吻合に適したリンパ管の位置を特定し、リンパシンチグラフィーで全体的なリンパの流れの状態を確認することで、手術の適応や効果を予測できます。
当院では、患者さまの状態に応じて必要な検査をご提案し、連携医療機関と協力しながら包括的な診断を行っております。

リンパ浮腫の病期診断と検査の重要性
リンパ浮腫は進行性の疾患であり、病期によって治療方針が大きく変わります。
国際リンパ学会による病期分類では、ISL0期からISL3期まで段階的に定義されています。ISL0期は、リンパの輸送に障害があるものの、まだ腫脹が明らかでない状態です。ISL1期は、四肢を上げることで軽減する可逆性の浮腫が見られる時期です。
ISL2前期になると、四肢の挙上だけでは浮腫が改善しなくなり、ISL2後期では組織の線維化が進行します。ISL3期は進行した状態で、組織が硬くなり、皮膚の肥厚や色素沈着などの変化が生じます。
早期に適切な検査を受けることで、病期を正確に把握し、進行を抑える治療を開始できます。特にISL1期やISL2前期の段階で治療を開始すれば、生活の質を維持しながら症状をコントロールできる可能性が高まります。
検査で評価される主な項目
リンパ浮腫の検査では、以下のような項目が評価されます。
- リンパ駆出能(リンパをくみ上げるポンプ機能)
- リンパ管の走行と障害部位
- 皮膚への逆流現象(dermal backflow)の有無と範囲
- リンパ液の貯留状況
- 組織の線維化の程度
これらの情報を総合的に判断することで、保存療法が適しているのか、手術療法を検討すべきなのかを決定します。
また、検査結果は治療効果の判定にも用いられます。治療前後で検査を行うことで、リンパの流れがどの程度改善したかを客観的に評価できます。
リンパ浮腫の治療選択肢:保存療法と手術療法
リンパ浮腫の治療は、検査結果に基づいて個別に計画されます。
保存療法は、リンパ浮腫治療の基本となるアプローチです。複合的理学療法と呼ばれ、スキンケア、医療徒手リンパドレナージ(MLD)、圧迫療法、運動療法を組み合わせて行います。
スキンケアでは、清潔と保湿を心がけ、皮膚バリア機能を良好に維持することで、蜂窩織炎などの感染症を予防します。MLDは、貯留しているリンパ液を適切な方向に誘導する手技です。
圧迫療法は、弾性着衣や包帯を使用して適切な圧力をかけることで、リンパ液の貯留を防ぎます。運動療法は、圧迫下での運動や挙上位での運動を組み合わせて実施します。
これらの保存療法は、リンパ浮腫のすべての病期において基本となる治療法であり、継続的に行うことが重要です。

手術療法の適応と種類
保存療法だけでは十分な効果が得られない場合や、病期が進行している場合には、手術療法が検討されます。
代表的な手術方法として、**リンパ管静脈吻合術(LVA)**があります。これは、機能しているリンパ管と静脈をつなぎ合わせることで、新たなリンパの流れを作る手術です。
当院では、リンパ管静脈吻合術を日帰り手術で行っております。高周波を用いた超音波検査で機能的なリンパ管の位置を確認してから手術を行うため、効果的な治療が期待できます。
手術は局所麻酔で行われ、数時間で終了します。手術後は当日帰宅できますので、入院の負担がありません。
手術後も保存療法の継続が重要です。手術と保存療法を組み合わせることで、むくみの軽減と生活の質の向上を目指します。
リンパ浮腫検査を受けるタイミングと注意点
リンパ浮腫の検査は、早期に受けることが重要です。
がん治療後の方は、手術後すぐにむくみが生じる場合もあれば、数年経過してから発症する場合もあります。定期的な自己チェックを行い、少しでも気になる症状があれば、早めに専門医を受診することをおすすめします。
むくみの初期症状としては、以下のようなものがあります。
- 手足が重く感じる
- 指輪や靴がきつく感じる
- 皮膚を押すと跡が残る
- 左右で太さが違う
- だるさや疲れやすさを感じる
これらの症状に気づいたら、放置せずに形成外科やリンパ浮腫外来を受診しましょう。早期発見・早期治療が、症状の進行を抑える鍵となります。

まとめ:リンパ浮腫は早期診断・早期治療が大切です
リンパ浮腫の検査は、形成外科やリンパ浮腫外来で受けることができます。
ICG蛍光リンパ管造影とリンパシンチグラフィーは、それぞれ異なる情報を提供する検査方法です。ICG検査はリンパ管の詳細な走行や局所的な障害部位の把握に優れ、リンパシンチグラフィーは全体的なリンパの流れの評価や重症度判定に適しています。
早期に適切な検査を受けることで、病期を正確に把握し、進行を抑える治療を開始できます。むくみが気になる方は、放置せずに専門医を受診することをおすすめします。
当院「ななほしクリニック」では、形成外科専門医によるリンパ浮腫の診療を行っております。検査から保存療法、日帰り手術まで包括的に対応しておりますので、ご相談ください。
詳しい診療内容や予約方法については、ななほしクリニックの公式サイトをご覧ください。皆さまのご来院をお待ちしております。
著者
久米川 真治(くめかわ しんじ) 医師
ななほしクリニック 院長

形成外科・皮膚科・美容皮膚科を専門とする医師。
保険診療から自費診療まで幅広い臨床経験を有し、形成外科専門医として、疾患の正確な診断と患者負担の少ない治療を重視した診療を行っている。
本サイトでは、医師としての臨床経験と医学的根拠に基づき、症状・治療法・注意点について、一般の方にも理解しやすい医療情報の発信を行っている。




