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赤ちゃんの頭の形が気になる・・・そんな悩みを抱える保護者の方は少なくありません。
絶壁や斜頭症といった頭のゆがみは、向き癖や寝る姿勢などの影響で発生します。
これらの変形は自然に治ることもありますが、重度の場合は適切な治療が必要です。
本記事では、ヘルメット治療の必要性や開始時期、費用相場まで最新情報を網羅してお伝えします。
赤ちゃんの頭のゆがみとは?絶壁・斜頭症の基礎知識
赤ちゃんの頭は脳の成長に合わせて大きくなるため、骨が非常にやわらかい状態です。
そのため、胎内での姿勢や出産時の状況、出生後の寝る姿勢などによって頭の形がゆがんでしまうことがあります。

頭のゆがみの主な種類
頭のゆがみは変形の仕方によって大きく3つに分類されます。
斜頭症は、頭のどちらか片方が平坦になり、左右非対称に見える状態です。
向き癖が強い赤ちゃんに多く見られ、上から見ると頭が斜めにゆがんでいることが特徴です。
短頭症は、後頭部が平らになっている状態で、いわゆる「絶壁頭」と呼ばれるものです。
仰向けで寝ることが多い赤ちゃんに発生しやすく、日本人に多く見られる傾向があります。
長頭症は、頭の前後幅が横幅に比べて長くなっている状態です。
真横に寝ることが多い赤ちゃんに見られます。
なぜ頭のゆがみが起こるのか
赤ちゃんの頭のゆがみの原因は、主に外部からの圧力によるものです。
胎内での姿勢、出産時の状況、出生後の向き癖や寝る姿勢などが影響します。
日本では乳幼児突然死症候群の予防のため、仰向け寝が推奨されています。
また、伝統的に仰向けで寝かせる文化があるため、頭のゆがみがある赤ちゃんは比較的多いと考えられます。
生後1か月の時点で、約7%の赤ちゃんが重度のゆがみを持っているという研究結果もあります。
頭のゆがみは自然に治る?放置するリスク
頭のゆがみは自然に改善することもあります。
生後3か月頃にゆがみのピークを迎え、生後6か月頃には生後1か月頃と同程度まで改善することが研究で明らかになっています。
重度のゆがみは残りやすい
しかし、生後4~8か月頃に重度のゆがみがある場合、約3か月経過しても約7割の赤ちゃんが重度のままという結果も出ています。
そのため、「自然に治る」という一言だけでは、実際にどの程度ゆがみが残るのかを正確に伝えきれません。
重度のゆがみがある場合は、適切な治療を検討する必要があります。
ゆがみが残った場合の影響
頭のゆがみが残ると、まず整容的な問題が挙げられます。
顔の左右差、帽子が脱げやすい、ヘッドフォンの位置が合わない、似合わない髪型があるなど、成長してから自尊心が低下する恐れがあります。
また、耳の位置のずれや歯並びの問題が生じることもあります。
発達に関しては、大部分の乳幼児では問題がないと報告されていますが、発達の遅れを認めた場合でも2歳以降に徐々にその差が縮まってくると言われています。

ヘルメット治療とは?その仕組みと効果
ヘルメット治療は、赤ちゃんの頭のゆがみを改善するために行われる矯正治療です。
1998年に米国で初めて医療機器として承認され、日本では2018年に承認された治療法です。
ヘルメット治療の仕組み
ヘルメット治療では、赤ちゃんの頭の形状に合わせてオーダーメイドで作成したヘルメットを装着します。
頭の平らになった部分にヘルメットで空間をつくり、赤ちゃん自らの頭蓋成長を原動力として平らな部分に成長を促す仕組みです。
やわらかい頭を保護し、すでに変形して平坦になってしまった部分の成長を促し、自然な頭のかたちへと近づけていきます。
手術をするわけでも、無理やりかたちを矯正するわけでもなく、あくまでも赤ちゃんの自然な骨の発達に沿って治療を進めます。
装着時間と治療期間
ヘルメットは1日23時間、入浴時や授乳中を除いて装着します。
最初は数時間から慣らしていき、徐々につけている時間を長くしていきます。
治療期間は2~6ヶ月前後で、赤ちゃんの月齢やゆがみの度合いによって異なります。
低月齢でゆがみの度合いが低いほど、治療期間は短く済みます。
通院と調整
ヘルメット装着後は、月に1回程度の通院が必要です。
赤ちゃんの頭の成長に合わせてヘルメットを調整し、治療経過や問題がないかを確認します。
通院頻度は赤ちゃんの月齢やゆがみの度合いによって異なる場合があります。
生後6ヶ月までが勝負の理由
ヘルメット治療の適正開始時期は、生後3ヶ月から6ヶ月くらいまでが推奨されています。
なぜこの時期が重要なのでしょうか?
頭蓋骨の成長スピード
赤ちゃんの頭の骨は、生後7ヶ月ぐらいまで非常にやわらかく、脳の成長に合わせて急速に拡大します。
この時期は向き癖などによる外部からの圧力で簡単に変形してしまう一方、矯正もしやすい時期です。
1歳ごろになると骨の成長が落ち着き、頭のかたちがほぼ決まってしまいます。
治療効果の違い
首がすわっていない時期は体位変換やタミータイムで改善を目指します。
生後3ヶ月から6ヶ月の間に治療を開始すると、治療効果が高く、治療期間も短く済む傾向があります。
6か月以降のお子さんでも改善効果はありますが、6か月以前のお子さんに比べて改善度が小さく、治療期間が長くなる傾向があります。
そのため、できるだけ早く診察を受け、必要であれば治療を開始することが重要です。
ヘルメット治療の費用相場
ヘルメット治療は日本ではまだ保険が適用されない自費診療です。
そのため、治療費がすべて自己負担(10割負担)となります。

ヘルメット作成費用
ヘルメット治療の費用は、医療機関や使用するヘルメットのメーカーによって変わりますが、おおよそ40~60万円(税込)の費用がかかります。
日本のヘルメット治療で使用されている主なヘルメットの費用目安は以下の通りです。
- アイメット:約45~60万円(税込)
- クルム:約45~60万円(税込)
- スターバンド:約40万円(税込)
- ミシガン頭蓋形状矯正ヘルメット:約40~60万円(税込)
これらの費用には、診察・検査にかかる費用が含まれています。
高額になる理由
ヘルメット治療が高額になる理由として、以下の点が挙げられます。
まず、ヘルメットがオーダーメイドであることです。
赤ちゃんの頭のかたちをスキャンし、一人ひとりの頭のかたちに合わせて作成するため、量産型ではなく費用が上がる傾向にあります。
また、治療中もヘルメットを調整する必要があります。
赤ちゃんの頭の成長にあわせて2~6週間に1回程度ヘルメットを調整し、頭のゆがみを矯正していくため、この調整費用も含まれています。
さらに、保険が適用されないため、治療費がすべて自己負担となることが大きな要因です。
その他の費用
ヘルメット作成費用の他にも、治療中に追加で発生する費用があります。
通院の際の交通費が都度発生します。
また、ヘルメットを自宅で手入れする備品の購入費用も必要です。
アルコールタオル(約1,000円)やスプレー(約1,500円)、ガーゼ(数百円~)などの購入費用も考えておきましょう。
医療費控除の対象
ヘルメット治療は医療費控除の対象になることがあります。
確定申告の際に税務署に相談してみることをおすすめします。
出典赤ちゃんの頭のかたち相談室「ヘルメット治療の費用は?」(2026年)
ヘルメット治療を検討すべきケース
すべての頭のゆがみにヘルメット治療が必要なわけではありません。
理学療法で十分改善可能なこともあります。
理学療法とヘルメット治療の使い分け
軽度から中等度のゆがみの場合、体位変換やタミータイムといった理学療法で改善を目指します。
体位変換とは、赤ちゃんの頭や体の向きを定期的に変えることです。
タミータイムとは、赤ちゃんが起きている状態で保護者の見守りの下、うつぶせの姿勢で過ごすことです。
しかし、耳の位置やおでこにまで変形がおよぶような重症例では、ヘルメット療法以外に有効な治療法がありません。
中等症以上の変形では、体位変換だけでは改善がむずかしいことがあり、ヘルメット治療が勧められます。
病的な頭蓋変形との鑑別
ヘルメット治療を検討する前に、病的な頭蓋変形でないことを確認する必要があります。
頭蓋縫合早期癒合症という病気では、赤ちゃんの頭蓋骨が通常よりも早い時期に閉鎖・癒合してしまいます。
この場合は手術が必要となることがあるため、エコーやレントゲン、頭部CT検査などで鑑別診断を行います。
頭のかたちが気になる方は、まず専門医に相談することが大切です。
出典京都大学医学部附属病院形成外科「赤ちゃんの頭のかたち外来」(2026年)
ヘルメット治療の流れ
ヘルメット治療は完全予約制で行われることが一般的です。
ここでは、初診から治療終了までの流れをご紹介します。

初診と診察
初診では、赤ちゃんの頭のかたちを診察し、エコー検査やレントゲン検査を行います。
病的な頭蓋変形でないことを確認し、ゆがみの度合いを測定します。
頭蓋の測定を行い、中等症以上のゆがみの場合、ヘルメット治療が推奨されます。
3Dスキャンとヘルメット作成
ヘルメット治療を開始する場合、3Dカメラで赤ちゃんの頭を撮影します。
一人ひとりの頭のかたちに合わせてオーダーメイドでヘルメットを作成します。
ヘルメット発注から装着まで約1~2週間程度かかります。
ヘルメット装着と慣らし
ヘルメットが完成したら、装着を開始します。
最初は数時間から慣らしていき、徐々につけている時間を長くしていきます。
最終的には1日23時間(お風呂やお手入れ以外)を目安に装着します。
定期通院と調整
月に1回程度の通院で、ヘルメットの調整や経過観察を行います。
赤ちゃんの頭の成長に合わせてヘルメットを調整し、治療効果を確認します。
治療期間は2~6ヶ月が標準的な期間です。
治療終了
治療終了時には、再度3Dスキャンを行い、治療前後の変化を確認します。
赤ちゃんの月齢やゆがみの度合いによって治療期間は異なりますが、適切な時期に開始すれば効果的な改善が期待できます。
ヘルメット治療の注意点
ヘルメット治療を行う際には、いくつかの注意点があります。
装着時間の遵守
23時間の装着が推奨されています。
装着時間が長いほど、平坦部の成長が促進されるため、治療効果は高くなります。
専用のアプリで装着時間を記録することが推奨されます。
清潔に保つ
ヘルメットを定期的に洗浄することが重要です。
手入れがされていないと、臭い、皮膚の炎症、不快感などの問題が発生します。
アルコールタオルやスプレー、ガーゼなどを使って清潔に保ちましょう。
皮膚トラブルへの対応
ヘルメット装着中は、あせもや赤みなどの皮膚トラブルが起こることがあります。
異常を感じたら、すぐに医療機関に相談しましょう。
多くの医療機関では、治療中のサポート体制が整っており、LINEなどで質問に対応してくれる施設もあります。
火気や大きな力を避ける
ヘルメットを火気に近づけないこと、口に含まないこと、踏みつける等の大きな力を加えないことを守ってください。
ななほしクリニックの頭のかたち外来
ななほしクリニックでは、形成外科専門医による頭のかたち外来を行っています。
院長の久米川真治は、和歌山県立医科大学附属病院で形成外科医として勤務していた経験を活かし、地域のみなさまに寄り添った医療を提供しています。
専門医資格を持つ医師が複数在籍しており、男性・女性の医師が在籍しているため、安心してご相談いただけます。
赤ちゃんの頭のかたちでお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
初診では、エコー検査やレントゲン検査を行い、病的な頭蓋変形でないことを確認します。
ゆがみの度合いを測定し、理学療法で改善可能か、ヘルメット治療が必要かを判断します。
一人ひとりの患者さまに対して丁寧な診療を心がけ、安心してご相談いただけるクリニックを目指しています。
ななほしクリニックは、大阪府堺市東区日置荘西町4-35-10 メディカルスクエア初芝駅前203に所在し、初芝駅前の便利な立地です。
形成外科・皮膚科・婦人科・美容皮膚科の4つの診療科を提供しており、クリニック間の連携を強化した診療を行っています。
詳しい診療時間や予約方法については、ななほしクリニックの公式サイトをご確認ください。
まとめ
赤ちゃんの頭のゆがみは、適切な時期に適切な治療を行うことで改善が期待できます。
生後6ヶ月までが治療開始の重要な時期であり、この時期を逃すと治療効果が低下する可能性があります。
ヘルメット治療は自費診療で40~60万円程度の費用がかかりますが、医療費控除の対象になることもあります。
頭のかたちが気になる方は、まず専門医に相談し、理学療法で改善可能か、ヘルメット治療が必要かを判断してもらいましょう。
早期の相談と適切な治療で、赤ちゃんの健やかな成長をサポートすることができます。
赤ちゃんの頭のかたちでお悩みの方は、ぜひななほしクリニックにご相談ください。
著者
久米川 真治(くめかわ しんじ) 医師
ななほしクリニック 院長

形成外科・皮膚科・美容皮膚科を専門とする医師。
保険診療から自費診療まで幅広い臨床経験を有し、形成外科専門医として、疾患の正確な診断と患者負担の少ない治療を重視した診療を行っている。
本サイトでは、医師としての臨床経験と医学的根拠に基づき、症状・治療法・注意点について、一般の方にも理解しやすい医療情報の発信を行っている。




